2023年2月26日(日)に大阪市で開催された日本医療秘書学会第20回学術大会にて、東京医療秘書福祉&IT専門学校の在校生が日野原重明賞を受賞しました。
本賞は医療秘書に関する優れた研究業績を、日本医療秘書学会学会誌または学会に発表した学会員に対し授与するものです。
今回の学術大会のメインテーマは「今こそ問われる日本の医療~メディカルスタッフの未来予想図~」。大会に参加した医療秘書科1年生・診療情報管理士科1年生の在校生は、5カ月かけて研究を続けてきました。
研究のきっかけは実務経験のある先生の経験談。産婦人科は女性患者を迎えるためピンクの壁紙を使用している医療機関に、壁紙の色についてクレームが来たことがあったと伺い、当たり前に感じていたことが当たり前でなくなってきていることに衝撃を受けましたとのことでした。
そこで設定した課題は、LGBTの方々への対応。在校生自身の友人から相談を受けた経験も踏まえ、「LGBTの方に医療従事者としてできることは何か」「医療事務員の立場でできることは何か」と考えるようになったそうです。
調べていくうちに、LGBTに限らず「多様性を尊重する」という考えが広まりつつあることを知りました。そこで研究のテーマはLGBTに絞らず、多様性について研究をする「安心できる環境づくり~多様性に応じたパラダイムシフト~」にしたとのことです。
「壁紙は医療事務員の立場から変更できるもの?」
「治療をしない医療事務員には何ができる?」
問いを立て、解決策を何度も話し合い、たくさん調べていきました。調べるなかで厚生労働省が「保健医療2035のパラダイムシフト」を掲げていることがわかりました。このパラダイムシフトの中には「患者の価値の中心」、そして目指すビジョンには「保健医療の価値を高める」ということが記載されており、2035年までに「価値」に基づく医療を目指していました。医療は治療法だけが進歩しているのではなく、考え方も進歩しているということに気付きました。
「では、2035年に向けて、今の私たちができることは何か?」
学校での教職員を前にしたリハーサルで、は本番を見据え質疑応答の練習もしました。前日にはホテルで発表の練習をしたうえで臨んだ当日。緊張しつつも今までで一番元気で明るい発表をし、現場経験がある先生のインタビューを元に学生ならではの提案をしました。協議と調査を重ねた発表の結果、「日野原重明賞」という素晴らしい賞を頂くことができました。
今回の研究を通して在校生は、医療の知識だけではなく、皆で進めていく為に必要な協働力も身につけられた様子でした。「医療事務員もチーム医療の一員。自分一人の力では成し遂げられないことも、チーム一丸となって進めていけば大きな力を発揮できる」と感じたとのこと。自分や身近な人の経験から問いを立て、考え、調べ、協議を繰り返すことで一つの提案にたどり着く姿勢は、業界に拘わらず今後の社会を生き抜くのに必要な力です。それを身に着けてきた在校生を誇りに思います。
今回大会に参加した在校生1名については、保護者も東京医療秘書福祉&IT専門学校で学び卒業されています。このように親子で三幸学園を選ばれるケースもあり、学園の輪の広がりが改めて感じられます。
本学園はこれからも「日本を、そして世界を明るく元気にする」というビジョンのもと、自ら学び考え続け、業界で活躍できる人材の育成に取り組んで参ります。